電力節約のマメ知識

2016年11月21日

パソコン(PC)は電源を落とさないほうが消費電力が少ない?

電気

 欧米では電源を切らない人のほうが多いと言われているパソコン(PC)。反対に日本では電力の節約意識が高いためか、使い終わったら電源を切る人が圧倒的に多いようです。ところがこのPCをシャットダウンするという行為、必ずしも節約になるとは限らないのです。

◆そもそもPCの電気代はどのくらいかかるの?

 デスクトップPCの電気料金は、PCの消費電力や使用環境、電気料金プランなどで変わってはきますが、1時間につき3円程度です(※デスクトップPCの消費電力を100W/待機電力を2.3W、周辺機器を含まずPC本体のみの電気代として計算)。1日に4時間使ったとして、1カ月(4時間×30日)でおよそ360円かかります。

 ノートPCの場合はもっと安くて、1時間につき0.6円程度(ノートPCの消費電力を25W/待機電力を0.7Wとして計算)で。1日に4時間使ったとすると1カ月(4時間×30日)でおよそ72円。そもそもの問題として、購入時にデスクトップよりもノートを選ぶことが、PCの電気代において最大の節約ポイントとなり得ることがわかります。

 もちろん、すでにデスクトップPCを所有しているのであれば、購入費用などを考えると、利用時間をはじめ使用環境にもよるでしょうが、わざわざ買い換えるほどのレベルではないかもしれませんが。

PCの種類のほかに、電気代の節約になるのか気になるのが、シャットダウン問題。最近、「エアコンはつけっぱなしのほうが電気代が安くなる」ということが話題になりましたが、PCではどうなのでしょうか。

◆電源を落としてPCの電気代は節約できるか?

 PCの電源を落とす=シャットダウンとは完全に電源がオフになった状態のことで、シャットダウンした後は基本的に電力を消費しません。もちろん、コンセントに差し込んでいればわずかに電力(※待機電力)を使用しますので、省エネ・節電という観点から見ればコンセントから抜くのがいいのかもしれません。

 ただし、そこまでするかどうかはPCに関しては微妙。というのもPC内部のマザーボードでは、基本的な設定やデータをBIOS(バイオス)が電池を用いて維持しています。それがコンセントを抜くと内蔵された電池を使う仕組みになっていて、そのままにしておくと1〜3年で完全放電してしまい、内部データを維持できなくなり、起動しなくなってしまうこともあるのです。

 なので電源を落としてコンセントを抜くというのは、ことPCに限ってはあまり賢い策とは言えません(ノートPCの場合はバッテリーが内蔵されているので充電がある限りは問題ありませんが)。

PCの電源を落として得をするためには、不使用時間90分が目安だとWindows開発元のマイクロソフトは公表しています。なぜなら大方の電気製品と同じように、起動時にたくさんの電力を消費するからです。つまり90分間の間に何かしら使うのなら、そのまま電源を落とさずにスリープ状態(※メモリに作業内容を一時保存し、いつでも復帰できるような休止状態)にしておくほうが、起動電力が少なくすむので得ということになります。

◆度重なるシャットダウンはPC自体の負担になることを忘れずに!

 ただ、この90分というのは電力消費の面だけを見てのことです。というのもPCは精密機器。ハードディスクなどのモーターを回転させて起動するというプロセスは、実はPC自体に大きな負荷をかけることになります。

 たとえばデータを記録するハードディスクが壊れる(クラッシュする)のは、ほとんどが起動時です。ハードディスクに関する限りは、ずっと回転させておいたほうが長持ちするとも言われています。つまり、節電を心がけこまめに電源を落とすことによって、知らず知らずのうちにPCに負担をかけているのかもしれないのです。

毎月の電気料金を節約しようとしているのに、PCの故障確率を高めて買い替えするようなことになってしまっては、本末転倒。人それぞれ使用頻度などに差はあるでしょうが、帰宅してPCをつけたら確実に使用を終える就寝時までは電源を落とさずにオンにしたままにしておくのが、PCに負担をかけず節電にもつながるであろう最良な方法と言えるかもしれません。PCは、電気料金プランや使い方を意識すれば電気代の節約が可能です。自分に合った方法を見つけてみてください。



記事提供:@niftyでんき