電力節約のマメ知識

2017年08月08日

200Wと700W 電気料金はどのくらい変わる? 電子レンジW数の秘密

電気

ご存じでしたか? 電子レンジのW(ワット)数は消費電力量を表しているのではありません。では、いったい何を表したものなのでしょう。W数と電気料金との関係やW数にかかわる電子レンジの使い方もあわせて紹介します。

◆電子レンジのW数は何を表している?

よく誤解されますが、電子レンジのボタンなどに表示されている「200W」「500W」「700W」などのW数は、電気料金につながる消費電力を示したものではなく、「定格高周波出力」の値なのです。

定格高周波出力とは、おおまかに説明すると「食品を加熱するために必要な高周波の値」で、ターンテーブルを回す電力や庫内のライト、モニター表示にかかる電力などは含まれていません。

電子レンジを動かすためのすべての電力を合算した値は、「定格消費電力」として表示されていますのでチェックしてみましょう。

◆定格高周波出力のW数の違いは電気代に関係ない?

定格高周波出力のW数の違いがそのまま電気料金に反映されるのか、実験してみます。

アイリスオーヤマの単機能電子レンジIMB-F18-5(*1)を使い、200Wと700Wそれぞれの定格高周波出力で、陶器のカップに入った200ccの水を2分間温め、簡易型の電力量表示器(*2)で消費電力量などを計測しました。

以下は実験結果です。

◎700Wの場合
・瞬間消費電力:常時1.03kW前後
・消費電力量:約0.03kWh
・電気料金:0.86円(*3)
・でき上がり:熱湯。持ち手は熱くて持てないほど

◎200Wの場合
・瞬間消費電力:1.03kWから37Wをいったりきたり
・消費電力量:約0.01kWh
・電気料金:0.29円(*3)
・でき上がり:人肌以下のぬるま湯

単純に比較した場合、700Wは200Wの3.5倍。しかしこの実験では、電気料金は3倍に満たないという結果が出ました。

定格高周波出力のW数の違いは、そのまま電気料金に反映されるわけではないことを覚えておきましょう。

*1:アイリスオーヤマ/IMB-F18-5の仕様
・定格電圧/AC100V
・定格周波数/50Hz
・定格消費電力(最高値)/1150W
・定格高周波出力(最高値)/700W(200W、500Wに切り替え可能)
*2:ELPA/エコキーパーEC-05EB(小数点第3位以下は表示されず)
*3:27円(税込)/kWhとしてエコキーパーEC-05EB上で計算

◆W数にかかわる電子レンジの使い方

目的や食品の種類、状態などにもよりますが、電子レンジは小さなW数で長時間使用するよりも、大きなW数にして短時間で一気に温めるほうが節電につながるといわれています。

上記の実験結果のうち、出来上がりについて見てみると、700Wの方はすぐに飲もうとすると熱すぎるほど温まり、200Wではもう少し温めた方がよいと感じる程度のぬるま湯でした。

定格高周波出力は食品を加熱するために必要なエネルギーについての値ですので、W数が大きいほど加熱スピードが早くなり、使用時間が短くて済むため電気料金を抑えることができるのです。

◎電子レンジでの解凍は節電を考えるとNG
電子レンジの節電を考えたとき、特に気をつけたいのが冷凍された食品の解凍です。

とりわけ、小さなW数で行うことが多い冷凍肉の解凍などは、それなりに時間がかかるため電気料金も高くなりがちです。節電したいときには極力避けましょう。

電子レンジでの解凍はムラも出やすいことから、その面でも冷蔵庫などでの解凍がオススメです。

◎電子レンジのW数とブレーカーの関係
電子レンジを使っているとき、ブレーカーが落ちたことはありませんか?

上記の実験結果のうちの「瞬間消費電力」を見ていくと、700Wは「常時1.03kW(1,030W)前後」、200Wは「1.03kW(1,030W)から37Wをいったりきたり」となっています。

W数表示が小さい200Wで電子レンジを使っていても、2分間の使用時間のうち1,030Wもの電力を消費している時間帯が何度かあったということです。

小さいW数で使っていても、瞬間的に消費電力の数値が上がったとき許容電流を超え、ブレーカーが落ちてしまうことがあります。これを防ぐためには、ボタンなどのW数ではなく「定格消費電力」の値を確かめて、同時に使用する家電の量を減らすことが大切となります。

いかがでしたでしょうか。電子レンジのW数表示の意味を知って、効率的な使い方につなげていきましょう。