電力節約のマメ知識

2016年11月21日

“電力使用量の見える化”を可能にする「スマートメーター」とは?

電気

 2016年4月の電力自由化を契機に注目を集めた、次世代の電力量計「スマートメーター」。検針業務の効率化につながるなど電力会社には利点がある一方で、利用者にはどのようなメリットがあるのでしょう。導入が進むスマートメーターを紹介します。

◆「スマートメーター」とは?

 「スマートメーター」は、通信機能を備えた次世代の電力量計(いわゆる“電気メーター”)です。

現在、各電力会社はスマートメーターの導入を進めています。2016年4月の電力小売全面自由化をきっかけとして、新規参入した電力小売事業者に変更した場合、優先的にスマートメーターへの切り替えが実施されます。

そのほかの家でも、順次スマートメーターに切り替えられる予定です。

スマートメーターの取り付けは、新規参入した電力小売事業者に変更した場合でも、もともと契約していた東京電力などの地域の電力会社が行います。東京電力では、2014年度から2020年度までの7年間で、管轄内のすべての利用者宅にスマートメーターを設置する計画を立てています。

スマートメーターへの交換には、原則費用はかかりません。しかし、取り付ける家の設備状況によっては、別途工事が必要な場合もあります。その場合の工事費用は申し込み者の負担となります。

また、交換時に1軒あたり15分程度の停電を伴う場合もあります。

◆スマートメーターの主な機能は?

 スマートメーターには、主に以下の2種類の機能があります。

(1)電力使用量を30分ごとに計測
従来は月1回の検針によって1カ月間の電力の総使用量を計測していたのに対し、スマートメーターは日々30分ごとに電力使用量を計測します。

(2)通信機能を搭載
これまで検針員によって目視で行われていた検針が、通信機能が搭載されたことで、離れた場所からでも自動で行えるようになりました。これにより、電力会社の業務の効率化、高度化が促進されるといわれています。各スマートメーターと電力会社をつなぐこのルートを「Aルート」と呼んでいます。

また、スマートメーターで計測した電力使用量を、住宅用エネルギー管理システム「HEMS(ヘムス)」など利用者宅内の端末機器にリアルタイムで送信することができます。ある建物に設置されたスマートメーターと、その建物内のHEMSなどの端末機器をつなぐこのルートを「Bルート」と呼んでいます。

データの送受信ルートについてはさらに、電力会社と電力小売り事業者や第三者をつなぐ「Cルート」も存在します。

◆スマートメーター 利用者の主なメリットは?

 スマートメーターの概要がわかったところで、続いては利用者である私たちには、どのようなメリットがあるのかをまとめていきます。

◎電力使用量の把握
電力使用量などの詳細が見える化されることで、節電や省エネに取り組みやすくなります。東京電力のインターネットサービス「でんき家計簿」など、各電力会社では30分ごとの電力使用量のデータが確認できるサービスを開始しています。

また、利用者が自宅にHEMSを設置すれば、30分ごとの電力使用量のデータなどが自宅で確認可能となります。その際のデータ送信には、費用はかかりません。

◎手続きの簡素化
電力会社が遠隔でスマートメーターの操作や検針値の確認ができるため、アンペア数などの契約変更や引っ越しの際には、例外を除いて立ち会いなどの負担が軽減されます。

◎停電からの復旧の迅速化
停電したとき、スマートメーターの通電状況を電力会社が遠隔で確認できることから、復旧までの時間の短縮をより図れることが可能となります。
今後、東日本大震災後に行われた計画停電のような事態が起きた場合、スマートメーター切り替え後は、停電区域にある病院のみ自動で通電させるといったことも可能となりそうです。

通信機能を備えていることで、従来の電力量計とは比べものにならないほど活用の幅が広がったスマートメーター。この機能を利用した新しいサービスもどんどん生まれてくることが予想されます。メリットを上手に生かして、節電に役立てていきましょう。



記事提供:@niftyでんき