電力節約のマメ知識

2017年08月08日

ガス代が高いプロパンガス(LPガス)でも節約ってできるの?

ガス

現在も全国で数千万世帯が利用しているプロパンガス(LPガス)ですが、電気や都市ガスと違い、以前から自由化されていることは意外に知られていません。その価格差や、プロパンガスならではの賢い利用法を考えます。

◆ プロパンガスが全国数千万世帯で使われている理由

都市部にお住まいの方には馴染みが薄いかもしれない、プロパンガス。正式には「LPガス」と呼ばれます。

かつては、家の裏側にプロパンガスのタンクを置いている家庭があちこちに見られました。最近は目にする機会も減りましたが、現在も、全国で数千万世帯が利用していることはご存知でしょうか。

山間部の都市ガスが配管されていない地域はもちろん、郊外の新築分譲住宅や、戸建ての借家などにも、プロパンガスを使っているケースが数多く見られます。

都市ガスの配管費用は建築主(あるいは家主)の負担なので、当然、物件価格や家賃に上乗せされます。ですから、少しでも安い価格で、安い家賃でと、敢えてプロパンガスにしている物件も少なくないのです。

また、都市ガス網には意外なほど穴があり、新規に開拓された分譲地などでは、都市ガス整備が間に合わない場所も珍しくありません。

そのため、都市部のマンションから郊外の分譲住宅や借家に引っ越したら、ガスがプロパンガスだった……ということも起こり得ます。プロパンガスのことを知っておいても、損はないですよね?

最近は都市ガスの自由化が話題ですが、プロパンガスはずいぶん前から自由化が進み、契約する業者によって価格が千差万別であることも覚えておきましょう。

プロパンガスの料金は、基本料金・使用料金の二本立てです。基本料金はどこでもほぼ同じですが、従量制の使用料金は業者任せ。隣の家と毎月のガス料金が数千円も違うなどといったことが、当たり前に起こります。

しかもこの基本料金・使用料金に、ボンベの運搬費・人件費までが追加料金として含まれます。都市ガスより割高になるのは致し方ありません。

ちなみに業者をしっかりと選べば、単純な「ガス使用料金」だけなら大差ないケースもあるので、契約時には注意しましょう。ちなみに、安いから粗悪なガスだということはありません。プロパンガスの品質は、全国どこでも、どの業者でも均一です。

◆プロパンガスが都市ガスより高いとは限らない?

都市ガスとプロパンガスでは、ガスの使い方も変わってきます。

例えばお風呂なら、都市ガスで200?のお湯を毎日沸かすと、1回のガス代はおおよそ107円。いっぽうプロパンガスは、標準的な業者価格で163円ほど。

昔ながらの、浴槽と一体化した浴槽にはった水を沸かす「ガスふろがま」と呼ばれる器具よりも、水道から出る水をそのまま加熱できる「ガス給湯器」を利用するとそれぞれ約40円ほど料金を下げることはできますが、それでもシャワーの併用など、入浴時の節約法も考えなければなりません。
※数値は埼玉県の同エリア内にて比較したプロパンガス料金消費者のサイトデータをもとに参照

キッチンでお湯を沸かす場合、都市ガスは中火でも強火でもガス代は大差ありません。1リットルの水を沸かすなら、中火でも強火でもガス代はだいたい2.3円です。
※数値は東京ガスのサイトデータを参照

これがプロパンガスだと、約3円かかります。
※数値は東京ガスのサイトデータを参照し、水温15℃、ガス代1?・490円として独自計算

ちょっと難しい話かもしれませんが、同じ熱量を生み出すために必要なガス量(体積)は、プロパンガスでは都市ガスの2倍になります。一気の加熱を要するお風呂や、お湯を沸騰させる例では、こうしたプロパンガスの特性が顕著に表れるのです。

そのため、当たり前に都市ガスと同じ感覚で使うと、ガス代が高くになってしまいます。

この価格差は、プロパンガス業者が一社しかなく、独占状態のようになっている地域では大きくなる傾向にありました。ですが、最近ではそのような地域でも自治体や協会の尽力で、都市ガスと変わらない価格で提供されている場合もあります。

また、地震や豪雨など災害からの復旧が、都市ガスより早いことも注目されています。都市ガスの復旧は、水道や電気に比べて長期間不通になりがちです。かたやプロパンガスは、道路や電気さえ復旧すれば、配給可能になります。

甚大な被災地では、災害を機に、プロパンガスに切り替えたご家庭もあるそうです。天災が続く昨今は、こうした側面も考えてみたほうがいいかもしれませんね。