電力節約のマメ知識

2017年08月29日

便利な電子レンジ調理はコスト的にお得なの?

電気

時短や効率アップなど、昔以上に活躍する場面が増えてきている電子レンジ。専用炊飯器やシリコンスチーマーなど、電子レンジを利用した調理器具は便利ですが、コストから考えた場合、通常の調理方法と比べてどうなのでしょうか?

◆電子レンジ・ガスコンロ・IHクッキングヒーターのコストを計算

今回、検証するのは、電子レンジと並ぶ代表的な料理器具であるガスコンロと、急速に普及してきているIHクッキングヒーターの3種類でコスト比較していきます。

まず、各器具を30分間、使用した場合の光熱費を計算してみます。どの器具もなかなか連続して30分使うことは少ないとは思いますが、コストの違いを把握するために、条件を統一しています。

・電子レンジ:約11.5円
・IHクッキングヒーター:約18.9円
・ガスコンロ:弱火・約2.2円、中火・約9.6円、強火・約16.9円


※電気代は公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会「新電力料金目安単価27円/kWh(税込)」を使用
※ガス代は東京ガス「一般契約料金(東京地区等)A表」の「基準単位料金142.66円/m3(税込)」を使用

電気やガスの契約プランや地域、使用量などに応じて基準となる単価が変動はしますが、単純にガスコンロの弱火が一番割安で、IHがもっとも割高という計算結果になっています。

もちろん、これは各調理器具を30分フルに稼動させたと想定した金額ですので、調理時間や使用方法などにより、かかるコストは変わってきます。

◆電子レンジで調理したときの光熱費はどれぐらい?

それでは、いくつかの調理パターンについて、各器具のコストを計算&比較してみます。

●野菜などの下ゆで
・電子レンジ:およそ3分前後の加熱で電気代は約1.1〜1.2円
・IHクッキングヒーター:およそ6分前後の加熱で電気代は約3.7〜3.8円
・ガスコンロ:およそ5分前後の加熱でガス代は約2.7〜2.8円

同じ電気を使う電子レンジとIHクッキングヒーターでは、電子レンジで調理する方がIHに比べて、かかる時間も電気代も削減が可能なケースは多いようです。ガスコンロと比べた場合は、圧倒的に電子レンジの方がお得という計算結果になっています。

以降は、電気代がIHに比べて割安になりやすい電子レンジとガスコンロの場合で比較していきます。

●レンジでパスタ
・電子レンジ:1人前・およそ10分で約3.8円
・ガスコンロ:1人前・およそ6分で約2.0円

一見するとガスコンロの方がコストも時間もかかりませんが、ガスコンロでパスタを作る際には、まず1人前を茹でるのに水1リットルを沸騰させる必要があり、その工程でガス代が約3円前後かかってきます。

トータルで考えると、調理時間こそ長くなりますが、電子レンジの方が光熱費を安くできます。

◆電子レンジで時短&コストダウン実現には「少量」がカギ!

その他、「炊飯器で保温しておくよりも電子レンジで温め直す」や、「電気ポットではなく電子レンジでお湯を沸かす」などの作業も、一般的電子レンジ使用時の方が光熱費が割安になりやすいとされています。

実際に検証すると当てはまる確率は高いのですが、注意点として、その多くの場合が「少量のものを加熱する」のに適しているということを頭に入れておいてください。

パスタを茹でる際も4人分や、炊飯器で家族分を炊いて同じタイミングで食べる、お湯を大量に沸かすといったときには、電子レンジの方がコストがかさんでしまうことも……。なにより電子レンジは大量の調理にはあまり向いているとは言えません。

調理方法や時間、量などに応じてうまく器具を使い分けるのがポイント。少量のものを手早くというときは、電子レンジを活用してみるのもいいと思います。