2016年10月19日
エアコンや電子レンジなどで見かける「200V家電」は電気代が増える?
日本の家電は“100V(ボルト)”対応のものが多いですが、最近では“200V”対応の家電も増えてきています。実際には何がどう変わり、電気代に影響があるのかなど、よく分からない人も多いのでは。100Vと200Vの違いについて解説していきます。
◆100Vと200Vの違いは? 電気料金への影響は?
本題へと入る前に、まずは100Vと200Vの違いについて確認しておきましょう。V(ボルト)とは、“電気を押し出す力(=電圧)”を表す単位のことで、電圧が高ければ高い(V数が大きい)ほど電気の量が多くなります。
たとえば水道の蛇口を想像してみてください。蛇口はひねればひねるほど水圧が強くなり、流れる水の量は増えていきます。この1秒間に流れる水の量を「電流(A・アンペア)」と仮定すれば、水圧は「電圧(V・ボルト)」に相当。つまり、水圧が大きいほど1秒間に流れる水の量が増えるのと同じように、200Vのほうが100Vより電圧が強く、出力を高めて使えるということになるのです。
ただそうなると、2倍の電圧がかかるということで電気代もかさんでしまうのでは……と考える人もいるかもしれません。
しかし、ご安心あれ。結論から言ってしまえば、100Vの家電でも200Vの電化製品でも、基本的には電気料金に差が出ることはありません。V数の違いはあくまで出力、パワーの違いであって、消費する電力(W数)自体は基本的には変わらないのです。
一般的に100Vは主に家庭で、200Vは工場をはじめ大型施設で使用されていることが多いのですが、最近ではエアコンや電子レンジといった電力を多く使う家電などにも、200Vに対応した機器が登場しています。
では、なぜ100Vと200Vで使用する電気の量が変わらないのでしょうか?
◆200Vのほうが100Vよりも作業時間が短くてすむ
先ほども説明しましたが、V数の大きさによる違いは電気の出力、パワーなので、数字が大きいV数のほうが、よりパワフルと言うことができます。すなわち、200Vは100Vの2倍のパワーを持っていることになり、100Vの電化製品よりも“作業時間”(※機器の稼動時間)を短くすることが可能なのです。
電子レンジで温めるケースを考えた場合、100Vのほうが温め終わるまでの時間が長く、200Vのほうはそれに対しておよそ半分の時間しか使わず、時短効果を得られます。
ところで、そもそも電気代は「機器の消費電力(W数)×使用時間×使用時間ごとの単価」という計算式で算出できます。W数とは電圧(V)×電流(A)の値ですが、基本的に機器ごとに決まっています。例えば消費電力500Wの電子レンジに、100V対応と200V対応の2種類があったとしてもとしても、
・「100V」×「5A」=500W
・「200V」×「2.5A」=500W
となり、消費電力(W)は一定となるのです。家電による消費電力が変わらないのであれば、V数が上がりパワフルになったとしても、結果として電気代に影響はでないということになります。
ただし、V数の上昇にともなって消費電力も上がった場合などは、当然ながら電気料金も高くなってしまいます。あくまでも100Vと同じ使用環境で200Vへと変更したケースに限り、電力がアップし使用時間が減っても消費電力が同じなため、電気料金に差が出ないのです。
◆一般家庭で200Vの電化製品を使用する方法は?
最後に200Vを一般家庭で使用する方法についてですが、近年建てられた住宅などであれば、「単相3線式」(※電柱から引き込まれた電線内に3本の線が入っていて、3本を使い分けることで100Vと200Vの使用が可能)が採用されているので、200Vを使用できる場合が多いです。コンセントの形状が100Vのものとは違うため、確認も簡単です。
もちろん、100Vしか使用できない「単相2線式」であったり、屋内に100Vのコンセントしか見当たらないといった場合でも、屋内配線工事や引き込み工事などを行うえば200Vの使用が可能になります。
100Vから200Vに変更したからといって、電気料金という点からは目に見えて大きな差はないかもしれませんが、A数が小さくても作業を安定して行えるため、効率という点からはメリットがあると言えます。200V用の電源を確保することで電圧降下を避けられ、節電しながら安定して電力を使えるので、オール電化の住居などではメリットは大きいかもしれません。
ご自身の環境に合わせて、考えてみてはいかがでしょうか。
記事提供:@niftyでんき
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