電力節約のマメ知識

2017年01月06日

鍋料理にはIHがお得? それともガスコンロ? 加熱方法と鍋メニューでお得度が変わる!?

ガス

寒い日に恋しくなるのが鍋料理。中から体を温めてくれるだけでなく、具材を一度に調理できるため、光熱費の節約という観点からも冬の強い味方です。ところで、テーブルの上に用意して一番賢く節約できるのはIH調理器、カセットコンロのどちらでしょうか。

◆「IH調理器」を鍋に使ったら高くつくというのは“誤解”

すっかり家庭に普及した感のあるIH調理器。ガスの引火などの心配がないことから利用している人も多いようですが、IHは電気代が高いという話もよく聞きます。そのため、節約を意識してディスカウントショップなどで安売りされているカセットコンロを使用している人もいるのでは。

ところが、これは大きな勘違いです。IH調理器は平均して1000〜1500Wの消費電力ですが、これを電気代に換算すると東京電力では1kWあたり約26円なので、1時間半ほど鍋を楽しんだとしても、かかる電気代は約30円程度。

カセットボンベが1本100円程度だとしても、コンロや機種、利用環境によって前後するがボンベは1時間半で使い切ると考えると、IH調理器を使えば単純計算で3倍以上のコスト減になるのです。

また、同じ電気を使う機器でコイル状のニクロム線を使った電気コンロ(電熱器)タイプのものもありますが、使用電力自体が少ないので電気代は抑えられますが、発生熱量が少ないため、熱伝導の効率が悪く調理に時間がかかるため、あまりオススメはできません。

◆IH調理器とガスコンロ、鍋のメニュー次第でおいしさが変わる!?

実は鍋料理メニューで、IH調理器に向いているものと、ガスコンロの方が向いているものがあります。たとえば石狩鍋、水炊きなどシメの雑炊まで楽しむメニューはガスコンロ向きで、しゃぶしゃぶはIH調理器向きと言われています。

その差はずばり、土鍋が適した料理かどうか。

洗剤を使わずに柔らかいスポンジで水洗いするなど、大切に手入れしてきた土鍋は、土の隙間が埋まり保温性が上がったり、じんわりとした加熱が可能となり、素材の旨味をより引き出して鍋料理をおいしくしていきます。

近年はIH対応土鍋という製品も各種ありますが、どうしても鍋全体がIHに反応する金属製ではないために効率が悪くなる場合もあるようです。

なので、「土鍋じゃないと……」というこだわり派の人なら多少コストは上がりますが、ガスコンロを使った方が土鍋本体を直接温めることができるので、よりおいしい鍋メニューを楽しむことができるはずです。

一方、しゃぶしゃぶやすき焼きなどの店舗でも金属製の鍋を用いる料理の場合は、IH調理器が圧倒的に有利です。

熱伝導効率の良いIH対応ホーロー鍋は、価格も安く軽いので食後の片付けも簡単。そもそも土鍋の手入れが面倒という人には、あらゆるメニューでこちらの方が使い勝手がいいかもしれません。

◆“一人鍋”はコスト的に見て高くつくのでしょうか

近年、“一人鍋”がブームを呼んでいます。複数人分の調理を一度にすませられるのが鍋料理が安くなる一番の理由です。鍋料理を一人で楽しむと、高くついてしまうのでしょうか。

たしかに4人で囲む鍋と一人鍋を比較すれば、食材の量の差はありますが、効率が悪いのは残念ながら事実です。

しかし、それは根本的に比較するものが違います。一人鍋は、通常一人で自炊して食べる料理とコスト比較をするべきでしょう。

そうなると話は変わってきます。ガスや電気コンロなどで調理して、食卓に持って行って食べる。食卓上で調理して食べる。実はそこにそれほど大きな差はありません。

一人鍋はむしろ調理しながら食べ始めることもできるわけで、結果的に全体の火や電気を使う時間も短縮できる可能性もあるのです。また、鍋料理だからと勢い込んで食材を買い込まず、冷蔵にあるものを鍋に放り込んで食べれば、全体的なコストは下がるはずです。

食材や人数による違いはありますが、光熱費・節約という面から見れば、IH調理器や電気鍋といった電気を使用して調理を行ったほうが電気代が安く、コストパフォーマンスはいいと言えます。

ただし、カセットコンロは電源などがない場所でも使えるのが最大のメリット。コスト以外を考慮しなければいけない場面では、活躍しれてくれるはずです。お得さも大事ですが、状況や目的に合わせて使い分けてみてください。

※記事内容は2016年12月現在の情報を基に作成。



記事提供:@niftyでんき