電力節約のマメ知識

2017年02月08日

乾電池より割高にならないための、充電池の正しい使い方

電気

乾電池のように使い捨てではなく、繰り返し使える充電池(ニッケル水素充電池)は便利な製品です。でも、正しい使い方をしないと、かえって乾電池より割高になることもあるので要注意!

◆ニッケル水素充電池のメリット&デメリットとは

皆さんが乾電池(マンガン・アルカリ乾電池)の代わりに使っている充電池は、正確には「ニッケル水素充電池」と呼ばれるものです。

以前の充電池には「ニッカド電池」という製品もありましたが、一般家庭用ではほとんど使われなくなりました。

では、なぜニッケル水素電池ばかりがもてはやされるのでしょう。

*ニッケル水素充電池のメリット
・繰り返し使え、長い目で見れば乾電池より安上がり
・ニッカド電池に比べ、電気容量が多い
・リチウムイオン電池(スマホやデジカメ等に使われる充電池)よりも安く、安全性も高い

スマートフォンの充電池から発火した騒動が記憶に新しいように、リチウムイオン電池は、発火や爆発の危険性がゼロではありません。

一方ニッケル水素電池には、そうした危険性がほとんどありません。また、人体に有害なカドミウムを使用するニッカド電池と違い、水素を使った無害&安全な製品でもあります。

まさに“地球にやさしい電池”なのですが、弱点もあります。その弱点を理解した上で使わなければ、一般的なマンガン・アルカリ乾電池より高くつく可能性もあります。それこそ“宝の持ち腐れ”となってしまいます。

*ニッケル水素充電池の弱点
・自然放電量が大きく、使わなくても電気容量が減ってしまう
・メモリー効果の関係で、電圧が下がりやすい
・過放電や、過充電に弱い(現在は機器の改良が進み、ほぼ気にしなくても大丈夫)

◆ニッケル水素充電池に不向きな機器では、乾電池のほうがお得なことも

最初に挙げた「自然放電」問題は、ニッケル水素充電池の宿命とでも呼ぶべき課題です。

満充電したニッケル水素充電池を機器に入れ、そのまま数週間ほど使わなかったとします。懐中電灯などでは、よくある話です。

ある日、懐中電灯をつけてみると、なにやら暗いことに気づくでしょう。まったく使わなかったのに暗くなるという、乾電池ではあり得なかったことが起こります。これが自然放電です。

このため、日頃から頻繁に使用する機器以外には、充電池の使用をあまりオススメしません。“使いたいときに使えない”可能性が少なからずあるようでは、いざという時に困ってしまいます。

2番目の「メモリー効果」は、完全放電する(使い切る)前に充電すると、電圧が下がってしまうというもの。これを繰り返すと、「電気容量は十分あるのに、電圧不足で機器が動作しない」ことになります。

たとえば、会議の議事録用としてニッケル水素充電池を入れたボイスレコーダーを使おうとしたところ、スイッチを入れても「あれ? 充電したばかりなのに電池切れ!?」となるようなケースも。電池切れを防ぐために、使用後には必ず充電するような機器にも、ニッケル水素充電池は不向きかもしれません。

上記の二例が起きた場合は、仕方なく乾電池を買うことになります。高価な充電池に意味がなく、結局は乾電池を買い続けたほうが安かった……というケースも起こり得るので注意しましょう。

では、「自然放電」や「メモリー効果」に対策はないのでしょうか。

そこで登場したのが、今やニッケル水素充電池の代名詞ともなった「エネループ」です。自然放電やメモリー効果が少なく、従来の乾電池に近い感覚で使える画期的な製品として、一大ブームを巻き起こしました。

現在は他社からも同様の製品が発売され、選択肢も増えています。安価な製品(大半は輸入品)もありますが、ニッケル水素充電池を賢く使うためにも高性能製品を選びたいところ。

ただし、対策が施された製品とはいえ、ニッケル水素充電池の弱点が完全に解消されたわけではありませんので、やはり使用機器は選ぶべきでしょう。とくに懐中電灯や非常用ラジオなど、緊急・災害時の備品には従来の乾電池を使用するべきです。ニッケル水素充電池があるからと安心せず、停電時用に乾電池の買い置きもお忘れなく。



記事提供:@niftyでんき