電力節約のマメ知識

2017年03月29日

注目度急上昇の「家庭用蓄電池」導入のメリット・デメリットとは?

電気

蓄電技術の進歩や太陽光発電システムの普及などで、電気を蓄えることができる「家庭用蓄電池」が注目を集めています。どのようなものか、家庭に導入するときのメリットとデメリットを中心に見ていきます。

◆家庭用蓄電池とは

一般家庭向けの小型の蓄電池。コンセントから充電して蓄電池単体で使用できるほか、太陽光発電システムなどと連携させることも可能です。

蓄電容量はおおむね10kWh以下。多くの種類がある蓄電できる電池の中でも、軽量コンパクトで高性能なリチウムイオンバッテリーを使っている製品が現在の主流となっています。

また、設置方式については、据え置きタイプ、壁掛け式、キャスター付きなど、さまざまなものがあります。

◆家庭用蓄電池を導入した場合のメリット

まずは、メリットをチェックしていきます。

●メリット1:停電時にも電気が使える地震や豪雨といった自然災害や送電線の断線などで停電したとき、家庭用蓄電池はバックアップ電源として使用することができます。

バックアップ電源としては、どのくらいの時間使えるのでしょう。たとえば、蓄電容量が1kWhのみのPanasonic「LJ-SJ10A」の場合、使用可能時間の目安は初期満充電時で、265Wの機器に対して約2時間45分となっています(使用可能時間や出力W数などは機種によって異なります)。

なお、Panasonicの製品カタログによれば、265Wで使用できる電気機器の例として、

・冷蔵庫(約50W)×1台
・LED照明(約50W)×2台
・液晶テレビ(約100W)×1台
・携帯電話充電(約5W)×3台

が挙げられています。

●メリット2:ピークシフト・ピークカットで節電が可能に
深夜に蓄えた電気を昼間や夜間の電力ピーク時に使用すること(ピークシフト)で、ピーク時の購入電力量を抑えること(ピークカット)ができ、電気代の節約にもつながります(一部機種ではできないものもあります)。

●メリット3:太陽光発電システムとの連携でさらなる節電を実現
蓄電池と太陽光発電システムを連携させることで、電気代の節約に期待できます。たとえば、昼間は太陽光パネルで発電した電気を使用し、余った電気は蓄電池に充電。夜は蓄電池に充電した電気を使って、足りない分だけを電力会社から買い、購入電力量を抑えます。

◆家庭用蓄電池を導入した場合のデメリット

次に、デメリットを見ていきましょう。

●デメリット1:蓄電池に寿命がある
蓄電池は種類を問わず、放充電を繰り返すと劣化していきます。寿命がきた蓄電池は交換が必要で、その分コストがかかります。寿命は機種によって異なりますが、5〜10年程度のものが多いようです。保証年数を設けているメーカーもあるので、購入時には必ずチェックしましょう。

●デメリット2:設置のためのスペースが必要
蓄電池は小型化がかなり進んでいるとはいえ、ある程度の大きさがあります。以下は、各メーカーの小型機種の大きさです。

◎Panasonic「LJ-SJ10A」(リチウムイオンバッテリー:蓄電容量1kWh)
・重さ約20kg
・壁掛け式
・幅605ミリ×高さ350ミリ×奥行155ミリ

◎デジレコ「SP-1200」(AGM式鉛バッテリー:蓄電容量1.2kWh)
・重さ37kg
・キャスター付き
・幅188ミリ×高さ453ミリ×奥行356ミリ

◎デンソー「PLB-10D」(リチウムイオンバッテリー:蓄電容量約1kWh)
・重さ約29kg
・キャリーハンドルとキャスターが付いているタイプ
・幅330ミリ×高さ288ミリ×奥行601ミリ

蓄電容量が大きくなると、蓄電池本体のサイズも大きくなる傾向にあります。また、太陽光発電システムなどと連携させる場合には、蓄電池のほかに制御機器を設置するケースがほとんどです。制御機器は、蓄電池より大きい場合も多いので注意が必要です。

●デメリット3:価格が高い電池の種類が違うPanasonicとデジレコの小型機種の価格を見てみましょう(各メーカーホームページより。Panasonicは希望小売価格、税抜)。

◎Panasonic「LJ-SJ10A」: 398,000円
◎デジレコ「SP-1200」:250,000円

安価なAGM式鉛バッテリーを使用している「SP-1200」のほうが安くはありますが、それでもこの価格です。また、サイズと同じく、蓄電容量が大きくなると価格も高くなる傾向にあります。

蓄電池単体で使用するのではなく、太陽光発電システムなどと連携させる場合には、制御機器代や設置工事代などがさらにかかってきます。購入するときには、事前にしっかり確認しましょう。

節電効果が高い一方で、まだまだ高額な家庭用蓄電池には、国や自治体による導入のための補助金制度が設けられています。募集時期や条件などはさまざまですので、導入を考え始めたら補助金情報もチェックしてみましょう。