電力節約のマメ知識

2017年03月29日

便利な乾電池の変換アダプターは、使い方次第で損をする!?

電気

単1〜単4の乾電池を“違う大きさ”に変換してくれるアダプター。100円ショップでも人気を集める便利アイテムですが、間違った使い方をすると、かえって損になることもあるのです。

◆乾電池には種類ごとに役割や用途があり、違いは大きさだけじゃない?

皆さんのご家庭にも、単1や単2乾電池を利用する機器がいくつかあることでしょう。こうした機器を入手しやすい単3乾電池で代用できる、アダプターやスペーサーと呼ばれる製品を使われている方も多いはずです。

東日本大震災の際には、どこのお店でも「入荷待ち」の品切れ状態だったことを思い起こす方もいらっしゃるでしょう。

乾電池の需要が一時的にパンクし、単1や単2乾電池が入手できないため、手持ちの単3乾電池とアダプターで代用した、災害時用の準備を考えたものの、全種類の乾電池を常備するのは面倒なので、単3乾電池とアダプターにした

など、品切れになった理由はさまざまです。単に「小さい乾電池なら常備するスペースが少なくてすむ」と、単4乾電池とアダプターをそろえた方も。なるほど、こちらも一理ありそうです。

でも、本当にそれでいいのでしょうか。「なぜメーカーは数種類の大きさの乾電池を製造し、それぞれを別の機器に使わせるの?」、「大手メーカーは、なぜ便利な乾電池アダプターを販売しないの?」そう思われる方も多いはずです。

メーカーは、その製品が最大限に性能を発揮されるように商品を製造しています。乾電池の種類指定も、その一環だということを忘れてはいけません。単1〜単4の乾電池にも、それぞれ役割と用途があるのです。

単1〜単4の乾電池はすべて容量が違い、たとえばアルカリ乾電池なら、おおむね以下のようになります。安価なマンガン乾電池は、その半分程度だと考えればいいでしょう。

・単1:12,500〜17,000mAh
・単2:5,700〜7,700mAh
・単3:2,000〜2,700mAh
・単4:850〜1,300mAh

乾電池は製品によって容量のバラツキが大きく、上記の最低値を満たしていれば製品として問題はありません。「電池なんて何でも同じ」ではないことが、これだけでもわかってもらえるはずです。

◆乾電池+アダプターでの代用は間違い? かえってコスト高になることも?

では、もっとも容量が必要な単1乾電池用の機器に、アダプターで単3乾電池を使用したらどうなるでしょう。

一例として、キャンプ用の乾電池式ランタン(照明)を見てみます。キャンプをされる方はもちろん、災害時用に用意されているご家庭も少なくないでしょう。ご家族でのオートキャンプ用など、大型の製品は大半が単1乾電池タイプです。

規格通りの単1乾電池と単3乾電池で点灯してみれば、その差は一目瞭然。明るさがまったく違います。

単3乾電池と単1乾電池では発生する電流量が違い、単1乾電池のほうが「より大きな」電流を流せます。要は「パワーが違う」わけです。

単1用の大型ランタンに単3乾電池を使うより、小型ランタンに規定通りの単3乾電池を使ったほうが明るいことも珍しくありません。もちろん、単3乾電池+アダプターで「災害時の非常用照明」だと割り切るならOKですが……。

懐中電灯のように小さな照明では、ランタンほど明るさの違いは感じません。ただし、容量の差で点灯時間が大きく異なります。前述の数値を見れば、単1用の懐中電灯に単3乾電池を使うと、1/6〜1/7程度の時間しか保たないことがおわかりでしょう。

これでは、非常用の装備としても心もとないですし、長時間の使用になればなるほど、容量=点灯時間のコスト差は大きくなります。単1と単3乾電池の価格差を逆転してしまうのも、時間の問題です。

つまり、規格と違う乾電池+アダプターを使用すると、以下のような弊害が生じるわけです。

・製品によっては、能力を十分に発揮できない
・長時間の使用では、かえって高くつく

乾電池アダプターの利用は、あくまで「その場しのぎ」だと考えたほうがいいでしょう。困ったときの備えとして、各種アダプターを用意しておくことは有効です。が、機器に見合った乾電池の常備も大切だということをお忘れなく。