電力節約のマメ知識

2017年04月28日

「PHV(プラグインハイブリッド)」は本当にお得なのかを考える

電気

なにかと話題なハイブリッドカー「PHV」(プラグインハイブリッド)」ですが、何がどうお得なのか、半信半疑な方も多いのでは? なのそこで今回は、PHVで得をする人、そうでない人を考えてみましょう。

◆ガソリン車からPHVに乗り換えると、月に1万円以上もお得?

ご存知のように、PHV(プラグインハイブリッド)の車はEV(電気自動車)と同じく、家庭用コンセントから充電池に充電することができます。「“電気だけでも走れることができ”」、「“ガソリンでも走ることができ”」、「“ガソリン走行中に充電もできる”」わけです。

大都市部を例に取ると、一般的なガソリン車の燃費は、低燃費な小型車でもガソリン1リッターあたり15kmほどでしょう。

新型プリウスPHVは、電気だけで約70km走行できるといわれています。この距離をガソリン車で走行すると、4.6リッターほどガソリンが必要となり、ガソリン代は560円(リッター120円で計算)となります。

これが電気走行だと、どうなるでしょう。新型プリウスPHVは充電池(電気容量)が強化され、8.8kWhの充電が可能です。1kWhあたりの電気代を20円とすると、満タン充電するために必要な電気代は、176円という計算が成り立ちます。

この比較だけを見ると、「PHVって、すごくお得!」だと思われるでしょう。

通勤や買い物などで毎日70km走行するご家庭だとして、1ヶカ月あたりの金額にも換算してみます。

*毎日70kmを走行した場合の燃料コスト
・ガソリン車:1日560円、30日だと16,800円
・新型プリウスPHV:1日176円、30日だと5,280円

なんと、1ヶ月で1万円以上もお得に!

1日の走行距離が70km以下だと差額は縮まりますが、20日間(1カヶ月に1,400km走行)で計算しても、PHVのほうが8,000円以上は安くなります。

◆ハイブリッド車ユーザーや長距離走行派には薄れるPHVのメリット

では、かなりの台数が普及している、一般的なハイブリッド車との比較ではどうでしょう。

電気代は無関係ですから、HV(ハイブリッド)走行時の実燃費を28km/lに想定すると、70kmを走行した際のコストはガソリン代300円です。

前述した新型プリウスPHVとの差額は、124円に過ぎません。1ヶ月30日なら3,720円の違い。これをどう判断するかです。

新型プリウスPHVの新車価格は、各種オプションを含めると400万円程度になるでしょう。単純に400万円を1日124円の差額で割ると、32,258日、88年……!?

実際には、今まで乗られていた車の下取り価格、乗り換えたPHVを手放す際の下取り価格、エコカー減税、自治体の購入補助金なども含まれますから、「元を取るのに“88年”!?」という考え方は極論です。

ただ、「PHVはお得らしい」と安易に飛びつく前に、ご自身の利用環境を冷静に考えてみるべきでしょう。

「EV走行では70kmしか走れない」ことも、考えなければいけません。ちょっと遠出をすれば、さらにガソリン代がかかるわけですから。

長距離走行が多いアメリカでは、PHVの普及が遅れています。ガソリンが安く電気代は高いこともあり、PHVよりHVのほうが好まれるのです。

ガソリンが高い日本ならではのPHVともいえそうですが、やはり長距離走行ではPHVのメリットが薄れます。

面倒な計算は抜きにして、PHVのお得度を簡単に整理してみましょう。

・車ナシからの新車購入:◎
・ガソリン車からの乗り換えで、1回の平均走行距離が70km未満:◎
・ガソリン車からの乗り換えで、1回の平均走行距離が70km超:○
・ハイブリッド車からの乗り換えで、1回の平均走行距離が70km未満:△
・ハイブリッド車からの乗り換えで、1回の平均走行距離が70km超:?


こんなふうに考えてみると、わかりやすいかもしれません。やはり、走行距離が大きなポイントになりそうですね。

※記事内容は2017年3月現在の情報を基に作成。