2017年05月24日
電力自由化を機に目にするようになった「ネガワット取引」って何?
ニュースや報道で見たり聞いたりする機会が増えてきている「ネガワット取引」ですが、いまいち内容がピンとこなかったり、あまり聞き慣れないという人も多いと思います。ネガワット取引とはいったい何なのでしょうか?
◆「ネガワット」は電力消費者が“発電”すること!?
本題に入る前に、「ネガワット」という言葉の定義について説明しておきましょう。ネガワットは造語で“マイナスの消費電力”を意味し、電力を使う側(家庭や企業など)が節電し、その結果として余った電力について、消費者側が“発電した”とみなす考え方のことをいいます。
もともとはアメリカの研究者であるエイモリー・ロビンスが1990年の論文で提唱したもので、日本では2015年6月に国会でネガワット取引に関する法案が可決し、2017年4月1日に施行が開始されました。
ネガワット取引は、消費する分の電力を節約し得られた電力(ネガワット)を再利用するのが基本コンセプトですが、もっとわかりやすく言えば、「消費者が行った節電に対し、対価が支払われる」ものと考えておけば、おおむね間違いはありません。
◆実は以前から「ネガワット取引」は存在した!
これまでも電力の大口消費者に対しては「需給調整契約」と呼ばれる似たような制度がありましたが、個人宅のような電力の消費量が少ない消費者は利用できませんでした。
ネガワット取引は、電力事業者と電力消費者の間に「アグリゲーター」と呼ばれる仲介事業者が入ることで、電力の大口消費者でなく個人の家庭でも、ネガワット取引に参加できるようになっています。
ここが需給調整契約とは大きな違いと言えるでしょう。
◆ネガワット取引の流れ&メリット
では、ネガワット取引はどのように行われるのでしょうか。簡単な流れを見ていきましょう。
まず、電力会社がその年にどれぐらい電力が不足するかを予想し、節電の指令をアグリゲーターに出します(※アグリゲーターは電力会社が兼務するケースもあり)。アグリゲーターは指令に基づき、節電目標を電力消費者へと割り振ります。
ネガワット取引に参加する消費者は節電を行い、実施した量に応じてアグリゲーターを通じで報酬を受け取ることができます。
ネガワット取引が発展していくと、電力の需給バランスを保ちながら安定供給できるほか、電力需要のピークの時期にネガワット取引で代替できれば、電力設備への過剰な投資を減らすと共に料金の値下げや環境への好影響というメリットも考えられます。
まだ運用がスタートしたばかりですが、環境や節約に配慮した節電という行動が、さらにお金がもらえるかも……となれば、これまで節電をしていなかった人たちも始めやすいのでは?
2020年には電力システム改革が進み「リアルタイム市場」が創設されるという計画のようですから、今後のネガワット取引の推移を見守っていきましょう。
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