電力節約のマメ知識

2017年08月29日

災害時に、節電に大活躍! 独立型の小型蓄電池付き太陽光発電システムとは?

電気

地震や豪雨などによる自然災害が各地で頻発している中、マンションのベランダなどにも設置できる「独立型の小型蓄電池付き太陽光発電システム」が注目されています。どのようなものなのでしょうか。

◆独立型の太陽光発電システムとは

電力会社の送電網とつながっていない太陽光発電システムのことです。電力会社の送電網から独立しているので、「独立型」または「オフグリッド」と称されています。

ここでは、独立型のシステムの中でも、発電量が小規模で移動も可能な小型蓄電池付きの太陽光発電システム(以下、独立型システム)を紹介します。

◆独立型システムのメリット

屋根にソーラーパネルを設置することが難しいマンションやアパートといった集合住宅などでも、独立型システムならベランダなどにソーラーパネルを置くことができます。

電力会社の送電網から独立しているので売電はできませんが、災害時の非常用電源やアウトドアでの電源としてはもちろん、節電にも力を発揮します。

また、費用が安いことも大きなメリットです。

屋根にソーラーパネルを設置するタイプの、売電および蓄電可能な一般住宅用太陽光発電システムの費用を、Panasonicのシステム例(*1)で見てみると、組み合わせ希望小売価格(税抜)は512万8,380円(*2)!

容量の大きさなど魅力的なシステムではありますが、気軽に設置できる金額ではありません。

一方、独立型システムの設置費用はどのくらいでしょうか。ソーラーパネルの大きさや枚数、バッテリーの容量、設置タイプかポータブルタイプかなどにより価格はまちまちですが、安価なものではソーラーパネル・バッテリー・インバーター・コントローラー・ケーブル類込みの3万円台のキットも販売されています。

この3万円台のキットをはじめとする主流の自作タイプなら、設置工事不要で工事費用もかかりません。

・売電ができないこと
・発電量や蓄電量の規模が小さいこと
・それほど難しくはないとはいえ、自分で組み立てるタイプが主流であること
・自作タイプの場合、導入後のメンテナンスや修理は自分で行う必要があること


といったデメリットもありますが、金銭的に導入しやすいシステムともいえるでしょう。

*1:システム構成(停電時出力100Vタイプ 蓄電容量5.6kWh)=創蓄連携システム専用機器(パワーステーションSなど)+太陽光尾発電システム共通機器・部材+スマートHEMS共通部材
*2:2017年7月29日現在の組み合わせ希望小売参考価格

◆どのくらいの電気が使えるのか

一例として、株式会社Looop「100Wモデルミニ(ソーラーパネル105W、バッテリー12V・58Ah)」について、メーカーが発表している満充電した場合の主な家電製品の使用時間目安を見てみます(以下の家電のW数は使用電力の目安です)。

【30Wの家電の場合】
例)ノートパソコン・一般家庭用省エネタイプ500Lの冷蔵庫
→約8.5時間

【35Wの家電の場合】
例)扇風機
→約7.5時間

【40Wの家電の場合】
例)ライト・フロアスタンド
→約6.5時間

【50Wの家電の場合】
例)液晶テレビ・HDDレコーダー
→約5.5時間

100Wモデルミニの充電時間の目安は、電圧不足から満充電まで晴天日にて約2〜3日と少し時間がかかります。また、このキットはバッテリーの容量も控えめであるため、毎日24時間つけっぱなしの冷蔵庫に独立型システムで発電した電気を使用するのは難しいところです。

その一方、1日中使っているわけではないノートパソコンやスタンドライト、スマートフォンの充電などでは十分に力を発揮できそうです。

これらにかかる電力を独立型システムで発電した電気で常にまかなえれば、電気料金がかなり節約できることでしょう。また、災害時には夜間の明かりに困ることなく、インターネットはもとよりテレビでの情報収集も可能になるなど、活躍が期待できます。

災害時はもちろん、節電にも役立つ独立型システム。主流の自作タイプを導入するときには、

・感電などの事故を防ぐため、必ず説明書や設置マニュアルに従って組み立てる
・ベランダの手すりに固定して使う場合は、部品やパネルが下の階や地上に落下しないよう、なるべく部屋側にしっかりと固定
・天候が荒れている日は外すようにする

といったことにも気をつけましょう。

※記事内容は2017年8月現在の情報を基に作成。