電力節約のマメ知識

2017年08月29日

扇風機が節電・節約に効果があるというけどAC式とDC式で差はある? そもそも違い

電気

節電や冷房効果を高めるなど、近年、改めて扇風機に注目が集まっています。扇風機はモーター方式の違いから、「AC式」と「DC式」に大きく分けられますが、両者による節電・節約の効果に違いはあるのでしょうか?

◆AC式扇風機とDC式扇風機の違いとは

扇風機は実に数多くの種類が発売されていますが、選ぶ際の目安のひとつになるのが、AC式とDC式です。最大の違いは、「直流(DC)」か「交流(AC)」かという電気の流れ方にあり、それぞれの方式を採用したモーターを搭載しています。

直流か交流の違いと言われても、あまりピンとこない人も多いかもしれませんので、AC式とDC式の扇風機の主な特徴をまとめてみます。

●AC式扇風機
・構造が比較的に簡単なため割安な価格のものが多い
・DCモーターと比較して、電気代が高くなる場合がある

●DC式扇風機
・ACモーターと比べて静音性が高い
・ACモーターの扇風機より電気代を安くできる
・AC式より本体価格が高いものが多い

以前はACモーターを採用した扇風機が一般的でしたが、最近では基本スペックが上昇してきたDC式が注目を集めています。AC式の扇風機は風の強弱、特に弱めの風が作りにくいのですが、DC式なら微風や超微風なども可能など、“心地よい風”を求める人たちが多いことも、人気の要因と言えます。

◆扇風機が冷房効率を高めるって本当?

AC式とDC式の違いがわかったところで、続いては「扇風機を使うことで冷房効果を高め節約につながる」と言われている説について考えていきます。

これは“空気の性質”を思い出せば、その仕組みがわかってくるはずです。

基本的に冷たい空気は下の方へ集まる性質があるため、扇風機を使ってうまく空気を室内で循環させてあげれば、温度むらがなくなってエアコンによる冷房効率が上がる……というイメージです。

また、扇風機の風を直接体に当てることで体感温度が下がるので、その分、必要以上にエアコンの設定温度を低くしなくてもよくなり、結果として電力消費を抑える効果にも期待できます。

ちなみに、一般社団法人 環境情報科学センターによると、「風速が秒速1メートル増えると体感温度は約3℃下がる」とのこと。実際に扇風機の風に当たってみれば、その“涼しさ”はすぐに体感できるはずです。

コスト面でも、エアコンで温度を下げる場合と扇風機を使って同じだけ体感温度を下げるケースを、1時間あたりの電気代で比較してみると、エアコンが約1.7〜1.9円かかるのに対し、扇風機は約0.8〜1.1円となり、思いのほか差があることがわかります※電気代は公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会 新電力料金目安単価27円/kWh(税込)を使用

◆AC式とDC式では電気代に差はある?

最後に、冷房効率を高めるために扇風機を使用した場合、AC式とDC式で差があるのかを見ていきましょう。

メーカーやW数をはじめ、多くの要因で電気代は前後しますが、一般的にAC式扇風機の1時間あたりの電気は約0.5〜1円、DC式扇風機が約0.1〜0.6円と計算できます。数値に幅があるのは、風の強弱を考慮しているためです。

この数値を見てもわかるように、同じ強さの風で同じ期間使い続ければ、DC式の方が電気代は安くすむことになります。

ただし、AC式は多くのを望まなければ3,000円以下で買えるような激安なものもありますが、DC式はどんなに安くても1万円前後するものが多くなっています。一度購入した扇風機を、どのくらいの頻度でどの程度の期間使うのかにもよりますが、本体価格込みでランニングコストを計算することをオススメします。