電力節約のマメ知識

2017年09月26日

環境にやさしい節電の切り札! 「エネファーム」のメリット&デメリット

電気

燃料電池を用いて発電や給湯をする「エネファーム」。環境にやさしく、「節電の切り札」ともいわれるエネファームは一体どんなものなのか、そのメリットとデメリットを合わせて紹介します。

◆「エネファーム」はどんなもの?

「エネファーム」とは「エネルギー」と「ファーム(農場)」をミックスした造語で、「家庭用燃料電池コージェネレーションシステム」の統一名称として使われています。

「コージェネレーションシステム」とは、熱源から電力と熱を生産し供給するシステムのこと。エネファームでは、都市ガスやLPガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を作り出し、そのときに発生する熱でお湯を沸かして給湯に利用します。

家で食べる野菜を家で作る家庭菜園のように、エネファームは家で使うエネルギーを家で作るので、送電ロスがほとんどなくエネルギーを有効に利用することができます。

また、ガスを燃やさずに利用するエネファームを1年間使用すると、CO2が1,330kgも削減できます(*1)。環境にやさしく、地球温暖化防止にも大きく貢献するシステムといえるでしょう。

現在、エネファームを生産しているメーカーはPanasonicとアイシン精機です。両メーカーともエネファームの小型化や高性能化を進め、都市ガス用、LPガス用はもちろん、現在では戸建用に加えてマンションにも設置可能な機種や停電時に発電できる機種も登場しています。

*1:(財)新エネルギー財団 平成21年度大規模実証事業報告会資料より引用(トップランナー機種のデータ)。

◆どんな特徴があるの?

両メーカー共通のエネファームの特徴は、次の3点です。

(1)各家庭の電気使用量に合わせて動く
(2)発電量や消費電力量、購入電力量などがリモコンに表示される
(3)使用電力量がエネファームの定格発電出力(0.70kWh)を超えるとき、電力会社からの購入電力を使用する(*2)

一方、メーカーによって異なるのが燃料電池の種類です。Panasonic製では発電効率が比較的低く排熱回収効率が高い「固体高分子形(PEFC)」を、アイシン精機製では発電効率が比較的高く排熱回収効率が低い「固体酸化物形(SOFC)」を使っています。

*2:使用電力量の変化に追いつかないときを含む。また、Panasonic製のエネファームについては発電していないときにも電力会社からの購入電力を使用。

◆電気代が大幅に下がる〜エネファームのメリット

エネファームのメリットは、なんといっても節電効果が抜群に高いこと。東京ガスの試算によれば、標準的な家庭(*3)での年間電気使用量のうち、なんと5割程度もエネファームでまかなえる(*4)ということです。

気になるガス代も、割安な専用料金メニューを用意しているガス会社もあり、大幅に下がる電気代と差し引きするとトータルでお得になるケースが多いようです。

そのほか、

・補助金がある
・基本的に湯切れの心配がない
・発電時の振動音がタービンなどを使うものに比べて小さい
・太陽光発電とのダブル発電を行うことで、太陽光発電分の売電量を増やすことができる

といったメリットがあります。

*3:戸建4人家族、延べ床面積120m2(平方メートル)のモデル住宅、2016年度製品の場合。
*4:エネルギーの使用状況によって変わります。

◆最大のネックは価格〜エネファームのデメリット

デメリットの筆頭は価格が高いことです。Panasonicの最新機種は149万8,000円(税抜)。300万円を超えていた初代の機種から比べると半額以下になったとはいえ、ここに設置工事費も加わります。購入の際には、補助金のフル活用をぜひ検討してみてください。

そのほかのデメリットは、

・貯湯タンクの設置スペースが必要となる
・一部製品では停電時に発電ができない
・エネファームで発電した分は、電力会社に売電することができない(例外あり*5)
・オール電化住宅では使えない

などが挙げられます。

エネファームはお湯の使用量に合わせて発電するので、あまりお湯を使わない家庭には不向きともいえます。安い買い物ではないので、家族の人数など家庭の状況とよく照らし合わせて購入するかどうかを決めましょう。

*5:24時間運転のアイシン精機製「エネファームtype S」について、大阪ガスなどでは売電契約をしている場合にかぎり、余剰電力の買い取りを行っている。

※記事内容は2017年9月現在の情報を基に作成。
※エネファームは東京ガス株式会社、大阪ガス株式会社、JXTGエネルギー株式会社の登録商標です。